日本人の中国語通訳案内士に仕事はあるのだろうか

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中国語で通訳案内士になることが、目下私の目標です。

今年の試験を受け、いま一次の筆記試験の結果を待っているところです。

(一次試験の感想はこちらから。結果と平成29年現在の状況はこちらから)

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しかし、今後、日本人で中国語の通訳案内士をやっていくのに仕事はあるのか。やっていけるのか。不安です。

考えてみると、中国語案内士には2つの壁があるのではと思います。

 

一つ目は、中国人旅行客は、日本を観光するときに通訳案内士を使わない問題

いま、日本にくる来日観光客で、一番多いのは中国人で、25%を占めています。また、中国語圏では台湾、香港から来る人も多く、合わせると全体の50%を超えます。

つまり来日外国人観光客のうち、2人に1人は中国語圏から来るのです。

数にすると、2015年は1000万人を超えています。

なのに、中国語通訳案内士は2015年度の合格者は86人です。

中国大陸から日本に来る観光客が爆発的に増えたのはビザが解禁された近年のことで、まだ中国語通訳案内士がその需要の増加に追い付いていないというのはあると思います。

しかし、いまの状態でもなんとかなっているのは、そもそも中国圏からの観光客の多くは、中国人添乗員とともに団体ツアーでやってきたり、個人旅行でもネットの情報や旅行ガイドを駆使して自分でなんとか回るので、通訳案内士を使わないからではないかと思います。

それと比べると、英語圏または欧米からの観光客のほうが、数は少なくても日本の通訳案内士を使ってくれる割合が高いように思います。それは個人旅行の割合が高かったり、所得が高いために通訳案内士を雇う余裕があったりするからでしょう。

しかし、この状況も少しずつ変わっていくと私は信じています。

中国に滞在していた私は、所得の高まりや海外旅行の普及により、特に都会に住む若者の中国人の旅のカタチが変わってきていると感じました。

彼らは団体旅行でバスに詰め込まれて皆で同じところをめぐる旅行に飽き飽きし、インターネットから入ってくる情報をもとに、自分の好みの場所、本当に行きたい場所に行こうとするのです。それは例えば地方の小さな観光地だったりします。

また、おなじみの観光地であっても、ただ「見に行った」という事実を手に入れるためだけに行くのではなく、合わせて日本の文化に触れ、より深い体験をしようとします。

そのような状況がさらに進めば、日本の通訳案内士にも出番がまわってくるかもしれません。

団体旅行で爆買いする中国人は一巡して落ち着きましたし、これから日本に来るのは、新しい旅のカタチの中国人だと考えています。

来日中国人旅行客の数が爆発的に増えなくても、通訳案内士を使って、日本をより深く知ろうとしてくれる中国人旅行客が増えてくれる(質の変化)ほうが、私にとっては嬉しいです。そうだったらいいなぁ。

 

二つ目は、日本語のできる中国人が多数日本にいて、日本人通訳案内士には仕事が回ってこないのでは問題

私の考える、二つ目の日本人中国語通訳案内士の壁です。

中国からの団体旅行客につくのは、無資格の中国人ガイドが多いです。かなり悪質な場合(不正に高い値段で客にお土産品を売りつけキックバックを得ていたとか)を除いて、そのほとんどは特に取り締まりなどされていません。

また、中国ではインターネットで、個人旅行に行く人が現地ガイドを探すウェブサイトがあります。一起嗨というこのサイトで行先「日本」にして調べると、たくさんの日本在住の中国人がヒットして、プロフィールや一日の報酬など彼らの条件を見ることができます。

ここに掲載されているのは、ほぼ100%中国人のようです。留学生もたくさんいます。日本では外国人を案内して報酬をもらう際は、通訳案内士という国家資格がいるという決まりのはずですが、このような場合適用されないのでしょうか。

とはいえ、私もここに登録したいなと考えているのですけど。

どうなんだろう、そのうち登録の依頼をしてみようと思っています。日本人でもできるのか。

 

さらには、通訳案内士資格試験においても、中国人との競争関係があります。

昨年度の通訳案内士試験の合格実績を見て気づいたのは、一次の筆記試験の合格率が、中国語は特に低いということ。9.7%でした。英語は29.3%ですし他の言語もそれよりは上です。

これは、中国人留学生や滞在者が、多くこの資格を受けているからじゃないかと思います。

実際に、私が今年受けにいったときも、たくさんの中国人受験者がおり、中国語が飛び交っていました。

また、わたしは実際に受験して資格をとったという中国人にも会ったことがあります。

中国人が、日本の通訳案内士の資格を取る場合、中国語の面接である二次試験のハードルはとても低いです。

しかし反対に、日本地理/日本歴史/一般常識の筆記試験がある一次試験は、彼らにとってかなり難しいものでしょう。

それでも、私の知り合いによると、中国人でも問題集を解いたり、中国語で書かれた歴史や地理の本を読んで勉強すれば、通訳案内士試験に合格することは十分に可能とのことです。

本当に、中国の人は頭いいし、努力家ですよ…。

 

また、中国からくる観光客は、同じ母語を使う中国人ガイドを使いたいと思う人が多いような気がします。

中国語の発音は日本人にとって本当に難しく、発音がネイティブレベルという日本人ガイドはあまりいない問題もあります(私にとっても発音は大きなハードルです…)し、

ほかにも心理的に、外国人である日本人よりも、同じ民族・国の人に案内してもらったほうが安心みたいな意識があるように思います。そうゆう華人意識みたいものを、中国人は国境を越えても、持ち続けているように感じます。

私だったらどうだろう。もし外国にいって、日本人のガイドが出てきたら、確かに安心しますね。でも、やっぱり現地の人とも交流したいし、その国のガイドさんが日本語をしゃべってくれるなら、その国のガイドさんを使いたい気がするんですけどね。いろいろその国について質問できるし、自分の外からの視線とは違う、内からの視線でその国を知ることができるから。

 

だいたい、政治的な衝突がたまにあるにせよ、文化的、経済的な日本と中国の関係性の深さの割に、中国語を話す日本人の数が少ないような気がします。それは、日本語を話す中国人が多くいるからという理由も大きいでしょう。日本人と中国人が一緒に仕事をするときの通訳者ってだいたい中国人のイメージ。

しかし、もっとこの通訳や案内の分野に日本人が入っていったほうがいいと思うのです。

中国から中国人がきても、ガイドが中国人であれば、結局は「外から見る日本」にとどまってしまい表面的な観光になってしまう可能性があります。日本と中国が本当に交流していくためには、中国語ができる日本人が、日本にきた中国人を案内するケースがもっと増えた方がいいと思うのです。

だから、今度通訳案内士になれたら、私に仕事をください!

という叫びでした。(笑)

 

 

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