村上春樹は中国でも大人気!中国ファンの春樹考を読む!

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中国にもたくさんのファンがいる村上春樹

秋ごろ、日本で文庫化された村上春樹の自伝的エッセイ『職業としての小説家』。

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中国でも12月中旬に翻訳版が発売されました。中国語タイトルは、『我的职业是小说家』(私の職業は小説家)。早速、話題となっているようです。

中国の本屋さんには、日本人作家の本もかなり置いてあります。ベストセラーとしてよく平置きになっていたのは、村上春樹、東野圭吾、綾辻行人の本でした。

彼らの長編小説は、中国の年間売り上げベスト10にも入りうるほどの人気を誇っています。

 

「十時读书」という超おすすめ中国語サイト

今日は、最近私がはまっている「十時读书」(十時の読書)というサイトで、村上春樹に関する記事があったので、それを紹介したいと思います。

まずはこれが、その文章の元サイトです。(元々は微信でフォローすると定期的に送られてくるニュースサイト)

https://mp.weixin.qq.com/s/9CslCtrzM_QyrPdKHdyfQA

このサイトでは、夜10時、寝る前にゆっくり聞きたい人生や生き方に関する素敵な文章、というコンセプトで、文章を読みながら、ナレーターがその文章を読み上げるのを聞くことができます。

中国語学習者にも、とっても役に立つサイトだと思います。ぜひ、音声を聞きながら文章を目で追ってみてください。

熊爷という文章の作者が、村上春樹の新刊『職業としての小説家』をもとに、

彼の規則正しい日々の生活から、小説家としての成功の秘訣を語ります。

村上春樹の大ファンだという作者の、春樹愛がほとばしる文章です。

 

中国ファンは村上春樹をどう見ているか

村上春樹について、こう評しています。

――他的小说,真的,太好看。独特的语境,迷人的句子,弥散着深邃的谜团般的氛围和清冷的孤独,而有条不紊的节奏感,更是让人不可自拔地,一步一步往青草更青处漫溯。

――彼の小説は、本当に素晴らしすぎる。独特のスタイル、魅力的な文章、深遠なる謎が散りばめられているような雰囲気とひっそりした孤独。整然としたリズム感、一度ハマったら抜け出せない、どんどんと静かな境地へと引き寄せられていく。

 

村上春樹の魅力は、中国語翻訳を通してちゃんと中国人にも伝わっているんですね。

また、作者は「熊爷最爱的,正是他对事业的坚持。」として、

村上春樹の規則正しい生活が、彼の小説家としての成功に欠かせないものであったことを強調しています。

このへんは、『職業としての小説家』の内容とかぶってくるのですが、

例えば朝4時半に起きて、まず仕事をすること、どんなときも1日10ページというノルマをこなしていること、夜暗くなったら仕事はしないこと、毎朝1時間くらい外を走ること、そしてそれらの習慣を何十年も続けていること。

などを、驚きを持って伝えています。そして、

「村上跑步是为成为一个小说家而做出的努力,而看看我们自己呢,愿意为我们的梦想和健康付出相应的“牺牲”么?」

「村上春樹のランニングの習慣は小説家となるために必要な努力だった。私たちはどうだろう、自分の夢と健康のために、相応の犠牲を払っているだろうか」

村上春樹のストイックな姿勢から私たちも学ぶべきだと述べています。

 

村上春樹の文章のスタイルは翻訳しても伝わっているのだろうか

私自身、村上春樹が大好きで、暇なときに何度も何度も読み返しています。私が特に魅了されているのは、村上春樹の文章の独特なリズム、言い回しです。そのへん、翻訳されてもちゃんと伝わるのかしらと少し疑問でした。

今回、熊爷さんの記事のなかに、村上春樹の小説の中国語翻訳版が引用されていたので、日本語版とちょっと比べてみたいと思います。

 

“最最喜欢你,绿子。”
“什么程度?”
“像喜欢春天的熊一样。”

“春天的熊?”绿子再次扬起脸,“什么春天的熊?”

“春天的原野里,你一个人正走着,对面走来一只可爱的小熊,浑身的毛活像天鹅绒,眼睛圆鼓鼓的。它这么对你说道:‘你好,小姐,和我一块打滚玩好么?’接着,你就和小熊抱在一起,顺着长满三叶草的山坡咕噜咕噜滚下去,整整玩了一大天。你说棒不棒?”
“太棒了。”
“我就这么喜欢你。”

――小说《挪威的森林》

 

「君が大好きだよ、ミドリ」「どれくらい好き?」
「春の熊くらい好きだよ」
「春の熊?」と緑がまた顔を上げた。「それ何よ、春の熊って?」
「春の野原を君が一人で歩いているとね、向うからビロードみたいな毛並みの目のくりっとした可愛い小熊がやってくるんだ。そして君にこう言うんだよ。『今日は、お嬢さん、僕と一緒に 転がりっこしませんか』って言うんだ。そして君と小熊で抱きあってクローバーの茂った丘の斜面をころころと転がって一日中遊ぶんだ。そういうのって素敵だろ?」
「すごく素敵」
「それくらい君のことが好きだ」

――小説『ノルウェイの森』より

 

 

ミドリは「緑子」と訳されています。「緑」じゃ名前に見えないんでしょうね。

中国人がこの文章をどのように感じているか、日本人の私が細かく正確に理解するのは難しいです。しかし、村上春樹のファンが中国にもたくさんいるということは、やはり村上春樹の文章のスタイルは、言語を超えて伝わるものなのでしょう。

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